ごったに。リンクフリー

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

インストーラ

 インフォの魔法士協会での風景なんかを少し。魔法士協会の描写は公式じゃないですよ。
 葉の代わりに白紙を茂らせた大きな樹が一本。
 樹の一部はくりぬかれて本棚になっている。ファイルが乱雑に並べられていた。
 本棚の隣にはくりぬかれた――のではない、ぽっかりと開いたうろ。覗き込めばぐつぐつと沸騰した樹液が湛えられているのが見える。うろの周囲には焼け焦げた紙の器が転がっていた。
 白衣の女性がそれらをちりとりで集める。灰まで掃き取ると、次に本棚の整理に取り掛かった。種類ごとにファイルを分け、ラベルを貼り、きっちりと並べていく。
 作業が終わると同時に、その風景は暗闇に閉ざされた。



「……終わったよ。おつかれさん」
 その声に夢現が破られた。
「はーい。レンチもお疲れ様」
 わたしは答えながら、ヘルメットを外して椅子から降りた。
「じゃ、シャワー浴びて着替えてくるといいよ。私は先に席取っておくから」
 レンチが伸びをしながら答える。
 夢に出てきたのと同じ、白衣の姿。彼女はわたしのかかりつけインストーラーだ。
 午前のメンテナンスはわたしで終わりなので、お昼を一緒にしようという約束をしていたのだった。

インフォー。こっちこっち」
 食堂の隅の席でレンチが手を振っている。
 机の上にはローファ粥が2つ、湯気をたてていた。
 メンテナンスの後はローファ粥、というのがわたしの定番、五年来の友人だけによくわかっている。
 わたしが初めて公式を焼き付けるときの担当がレンチだった。わたしの体質と、彼女が資格を取り立てということも相まって、少し大変なことになった。レンチがヒーラーの家庭で応急処置をうまく施してくれなかったら、わたしは今ここにいないかもしれないような事態だったのだ。新米魔法士と、新米インストローラ、なんだかんだで意気投合して五年、互いに気の置けない友人という奴である。

「やー、でも今回のメンテはちょっと大変だった。もうちょっとこまめにこないと」
 食後の一服にお茶をすすっているとレンチが呆れたように言った。
「ゴミも随分たまってたし、公式もばらけたり混線してたよ。冒険者になってから、公式の使い方荒くなったんじゃない?」
「あはは、慌てて公式使わないといけない事が多かったから」
「んー、冒険者やめたんだから、ヘンな癖は抜いてよね。メンテも楽だし」
「はーい、努力します」
「うむ。よろしい」
「偉そうに。こないだ頼まれてた報告まとめどうしようかなぁ」
「ごめんごめん、冗談だって。今月、一人やめてその分たくさんやらなきゃいけなかったんだから。ね? 頼むよインフォ。カスタードまん奢るから」
「そこまで頼まれたらやるしかないよね。カスタードまん、ご馳走になります。でも、補充のインストローラって入らなかったの?」
「うん、今探してる。だって、その人、急に辞めちゃったから……っていうかね。行方不明らしい」
「え、本当?」
「うん、何があったんだろうって皆言ってるよ」
「どんな人だったの?」
「うーん、あんまり喋らない人だったかなぁ。仕事終わるとすぐ帰っちゃってたし」
「どうなったんだろうね」
「うん、もー、一言文句いいたいよ」
「あはは、まぁ、頑張って」
 ぽんぽんっと、肩を叩いて立ち上がる。
「さて、そろそろお昼休み終わりでしょ?」
「うわ、もうそんな時間。 午後の予約も入ってるんだった。じゃあ、お先に!」
 白衣を翻して走っていくレンチ。苦笑しながら見送っていたけれども。
「……あ」
 テーブルには料金の書かれた紙が一枚。
「……あとで請求しよう」
 領収書をきっちり貰う。

コメント

 インフォきっちり家計簿つけてますからねw

キッチリ領収書を貰うインフォが素敵です(笑)

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://inhuo.blog94.fc2.com/tb.php/5-f1ffd1ab
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

<<  | HOME |  >>

プロフィール

日暮

Author:日暮
気力零。誰か助けて。

リンク

このブログをリンクに追加する

カテゴリー

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。